WHAT IS CYCLE LIVING LAB.?

一般社団法人サイクル・リビングラボは、自転車の活用を軸に新たな産業・文化を築き、地域の活性化に取り組む団体です。

活動の軸となるのは多様なステークホルダーと協働する「リビングラボ」アプローチ。

行政、企業、生活者の継続的な関係性を構築し、自転車、モビリティ、テクノロジーを軸としたさまざまなプロジェクトによって先進的な事業に取り組み、新たな価値の形成を通じて都市や地域の持続可能な発展を目指します。

地元のキーパーソンとの新たな出会い──プラザホテル吉翠園(京丹後市)訪問記

 

サイクル・リビングラボの取り組みを地域で推進するうえで、なくてはならないアクターの1つが協働する地域の事業者の存在。私たち一般社団法人サイクル・リビングラボ(CLL)は丹後地域を足しげく訪問していますが、事業意欲を持つ地元のキーパーソンとの出会いが増えつつあります。翌日に地域の試走を控えた2019年12月17日にも、京丹後市の宿泊施設「プラザホテル吉翠園」にお邪魔し、対話の機会に恵まれました。今回は、番外編として精力的な活動をされている方々を簡単にご紹介いたします。

ボトムアップ型の地域活性イベント「こまねこまつり」

 

最初にご挨拶を受けたのが、吉翠園の女将である田中智子さん。

 

田中さんは、京丹後市峰山地区の地域活性の取り組み「ねこプロジェクト」の代表としての顔をご紹介いただきました。同プロジェクトは、町内の金刀比羅(ことひら)神社に、日本唯一とされる「狛猫」が置かれていることに端を発して、2011年に立ち上がりました。

 

2016年に、金刀比羅神社を中心とするエリアではじめて開催されたまちあるきイベント「こまねこまつり」は、地域の有志の方々によるボトムアップ型の運営が特徴。年々ボランティアを含めた体制は厚くなり、活動は拡がっているそうです。その過程は、Wikipedia上でも精緻にまとめられており、わずか上位0.1%に与えられる「優秀な記事」として認定されているほど。これもメンバーのみなさんの熱量の一端を示すエピソードと言えそうです。

 

最近では、本業のホテル「吉翠園」にも自転車で訪れるお客さんが増えているそう。ただし受け入れ態勢が万全ではなく、ラックの設置などできる検討からはじめていきたいとのこと。まちあるきを主体とする「こまねこまつり」でも、まちをめぐるツールとしての自転車の可能性を探りたいとおっしゃっていました。

移住者が地域を盛り上げる「五箇プロジェクト」

 

次にご紹介を受けたのは、「五箇プロジェクト」のみなさん。「五箇」とは、京丹後市内の峰山町内にある五箇地域のこと。山あいに民家と田畑が連なるのどかな中山間地域です。

 

五箇地域では子どもが減り、人口も賑わいの機会も減少の一途をたどっている……という問題を抱えています。そんな地域の未来を考えるべく集まったのが、20代〜60代の男性5名からなる「五箇プロジェクト」です。2018年後半から活動をスタート、まずは地域の方々の声を聞くべく、ワークショップなどを開催しています。

 

中心人物の1人、岡村芳広さんは、海外在住経験を有し、現在は京丹後市内でシェアオフィスを運営しています。宿泊を絡めた来訪者向けの自転車の体験促進に意欲を見せるほか、持ち前のドローンの撮影技術などを活かして、さまざまなアクティビティやプロジェクトの機会を探っています。

 

関奈央弥さんは、京丹後市の地域おこし協力隊としてUターンしてきた地元出身者。五箇プロジェクトでは最年少の20代で、歴史や地域資源が豊かなエリアをつなぐサイクリングツアーの可能性を探っています。ガイド役として見立てているメンバーのなかには英語を話せるガイドもいるらしく、インバウンド向けの展開もねらっているそうです。

 

対話を通じて、交流人口の拡大に向けて、自転車が有するポテンシャルを強く感じていらっしゃることが伝わってきます。今後の連携を探るうえでも、ひとまず翌日に予定されている地域の試走に足を運んでくれることになりました。

 

(文責:白井 洸祐)