WHAT IS CYCLE LIVING LAB.?

一般社団法人サイクル・リビングラボは、自転車の活用を軸に新たな産業・文化を築き、地域の活性化に取り組む団体です。

活動の軸となるのは多様なステークホルダーと協働する「リビングラボ」アプローチ。

行政、企業、生活者の継続的な関係性を構築し、自転車、モビリティ、テクノロジーを軸としたさまざまなプロジェクトによって先進的な事業に取り組み、新たな価値の形成を通じて都市や地域の持続可能な発展を目指します。

【イベントレポート】京都府伊根町にて、地域・住民・企業が協働したライドイベントを開催!

記録的な猛暑となった今夏。さる722日に、私たちサイクル・リビングラボは京都府伊根町を拠点とする団体「リビングラボいね」と、関西を中心に展開するサイクルショップ「シルベストサイクル」と共同でライドイベントを開催しました。暑さに負けじと盛り上がりを見せた、伊根町一周ライドイベントの模様をレポートします!

 

今回のライドイベントのポイントは下記の5つ。

 

 

当日の写真とともに、早速見ていきましょう。

 

健脚自慢も初体験の地元住民も楽しめる2コース設計

TANTANロングライド」も定着し、サイクリストが訪れる姿も増えつつある丹後半島。サイクル・リビングラボでは、まだまだ知られざる魅力がある同地をサイクリストがより快適に楽しめ、地域のみなさんにも自転車の魅力を感じていただくべく、様々なお手伝いをしています。

 

今回のイベントもそのひとつ。大阪や兵庫、京都市など地域の外から参加いただいたみなさんには、恵まれた自然や文化に存分に触れながら走り応えも十分な全長75キロ、獲得標高差870メートルのロングライドを準備。一方で地元住民の方には、見かけることはあってもなかなか乗る機会のないロードバイクに、安全かつ初心者でも楽しめる体験ライドを実施。いずれもシルベストサイクルの熟練のスタッフと打ち合わせをしながら、綿密にコース設計を行いました。

 

当日のコースはコチラのサイトでも掲載しています

また今回は世界的に有名なサイクルコンピューターメーカー・GARMIN(ガーミン)の協力で、イベント参加者の自転車にGARMINedgeシリーズ貸し出しと、実際の走行データ取得という実験的な取り組みを行いました。

 

絶景と難所、地域の歴史にも触れる走り甲斐満点の健脚コース

最初にご紹介するのは、健脚自慢のサイクリストのみなさんにも必ず満足していただけるであろう、丹後半島の地形を生かしたコースを紹介します。

 

 

伊根町内を八の字に周る海あり山ありの約80kmのコース。スタート地点の天橋立は、言わずと知れた日本三景の一つ。左右日本海と阿蘇海に挟まれた林の中を自転車で走り抜ける気持ちよさはぜいたくな瞬間です。名所の舟屋エリアでは、日本のヴェネツィアとも称される美しい舟屋の景色が。こちらも海外からの観光客に大変人気があります。今回は特別に舟屋の中まで入り、地元の方に歴史をガイドいただきました。

もうひとつ、地形を生かしたコース設計のポイントはずばり難易度です。健脚コースだから実現した獲得標高差は870メートル! 丹後半島といえば半島を一周走るコースが有名ですが、実は内陸にも魅力ある(サイクリスト的に言う起伏に富んだ)ルートは沢山あります。今回はその中でも伊根町に焦点を当てて、舟屋群から本庄を抜けて泊海水浴場を通るコースを走りました。

 

ロードバイクの楽しさが膨らむ初心者コース

冒頭にお話ししたとおり、今回のライドイベントは、地域の方々も楽しんでいただける初心者向けのコースも設計しました。当日集まった地元のみなさんは、もちろんロードバイク初体験。心身ともに健康なメンバーが集まりましたが、スピードの出るモデルだけに、しっかり知識をつけていただく講習からスタートしました。

 

一通りの説明を受けて、いざ試乗。最初は慣れないハンドルや、身体の角度のつけ方、ブレーキと戸惑いを見せていましたが、少し走ると「早い!」「軽い!」「気持ちいい!」とすぐさま興奮の声に変りました。

 

聞けば子供のころから自転車通学されている方も多く、なるほど、こんなところにもサイクリング向きの地域としての素地を感じる瞬間でした。すぐに慣れてしまったこともあり、終盤は手信号・声信号を使ったチームでの走り方や、上り坂にも挑戦。みなさん筋肉痛を心配しつつも、充実した表情を浮かべていました。

 

サイクルステーションとして生まれ変わった「浦嶋館」

2つのコースの拠点となったのが「浦嶋館」です。日本最古の浦嶋太郎の伝説が伝わる浦嶋神社の目の前にある浦嶋館では、大阪の人気イタリアン「PIENO(ピエーノ)」監修、地元の食材を活用した本格イタリアンが人気。かねてから、派手なウェアと自転車で、少なからずサイクリストの来訪を気にかけていたというオーナーの松山さん。サイクリスト向けのおもてなしを強化し、ぜひ多くの人に立ち寄っていただきたいという思いを、サイクル・リビングラボもお手伝いしてきました。

春先から準備してきた成果のお披露目も兼ねていた今回のイベント。ヒノキを使ったサイクルラックは、お隣与謝野町の高岡建材さんにご協力いただいたご当地サイクルラックです。新たに設けた休憩スペースでは、空気入れからストレッチ用のマットまで、ライドイベント時はエイドステーションとして機能できるように最低限の設備を整えました。

自慢のレストランメニューも、浦嶋館の強みを活かしながらサイクリストが摂り入れやすいように工夫をしました。サイクリスト、栄養士、調理師の方々と打ち合わせをして、菰池大納言かき氷、夏野菜カレー、スムージー、紫蘇ジュース、梅ジュースといったサイクリスト向けの新規メニューを開発しました。

 

すでにこのイベントをきっかけに丹後半島を再訪し、その際に立ち寄っていただいた方もいらっしゃいます。浦嶋館のサイクルステーションとしての記念すべき第一歩が刻まれました。

 

地域、住民、企業で取り組んだリビングラボ的ライドイベント

最後に今回のイベントをまとめます。サイクル・リビングラボでは、京都府と共同で、地域・住民・企業が一緒になってひとつのテーマに取り組む“リビングラボ”アプローチを目指しています。地域でのライドイベントとなると、地域外からの参加者に地域の魅力をたくさん味わっていただくことに主眼が置かれますが、そこにいかに地元の方々も関わっていただくか、それが持続可能な長期的な取り組みにするための重要なポイントだと考えています。

 

今回は地元の方にもロードバイクを体験していただく初心者コースを設けたのがその狙いのひとつ。実際数多くのライドイベントを手掛けているシルベストサイクルのスタッフも、地元の初心者向けと共に走るイベントはこれまでなかったそうで、新鮮な驚きと、今後の継続性、他地域での展開の可能性を感じられてました。一方で地元の方々からも「これ、いくらですか?」と早速自転車購入に興味が湧いている様子でした。それぞれに合ったコース設計をしながら、浦嶋館での食事・休憩タイミングを設けたのも、このような感想をみなさんで共有する交流の場を作りたかったから。浦嶋館の今後の運営にも多様な立場から貴重なアドバイスが得られ、手ごたえを感じるイベントとなりました。

 

サイクル・リビングラボでは引き続き、サイクル・フレンドリーな丹後半島の実現を目指し、様々な取り組みをしていきます。次回の報告をお楽しみに。